【警告】
・アルツザン100mgを含むがん化学療法は、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施してください。適応者の選択にあたっては、アルツザン100mgおよび各併用薬剤の添付文書を参照して充分注意してください。また、治療開始に先立ち、家族に有効性よび危険性を充分説明し、同意を得てから使用してください。
・消化管穿孔があらわれ、死亡に至る例が報告されています。アルツザン100mgの使用中に、消化管穿孔と診断された場合は、アルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行ない、以降、アルツザン100mgを再使用しないでください。
・創傷治癒遅延による合併症(創し開、術後出血など)があらわれることがあります。
1)
手術後にアルツザン100mgを使用する場合は、術創の状態を確認し、使用の可否を検討してください。大きな手術の術創が治癒していない場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合を除き、アルツザン100mgを使用しないでください。
2)
アルツザン100mgの使用中に創傷治癒遅延による合併症があらわれた場合は、創傷が治癒するまでアルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行なってください。
3) アルツザン100mgの使用終了後に手術を行なう場合は、アルツザン100mgの使用終了からその手術まで充分な期間をおいてください。
・アルツザン100mgの使用により腫瘍関連出血のリスクが高まる可能性があります。脳腫瘍(脳転移を含む)のある人がアルツザン100mgを使用した場合、脳出血があらわれるおそれがあります。アルツザン100mgの使用中に重度の出血があらわれた場合は、アルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行ない、以降、アルツザン100mgを使用しないでください。
・脳血管発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、狭心症、脳虚血、濃梗塞などの動脈血栓塞栓症があらわれ、死亡に至る例が報告されています。観察を充分に行ない、異常が認められた場合には、アルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行なってください。動脈血栓塞栓症があらわれた人では、アルツザン100mgを再使用しないでください。
・高血圧性脳症または高血圧性クリーゼがあらわれ、死亡に至る例が報告されています。これらの事象があらわれた場合は、アルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行なうようにしてください。また、アルツザン100mgの使用期間中は血圧を定期的に測定してください。
・可逆性後白質脳症症候群があらわれることがあります。可逆性後白質脳症症候群が疑われた場合は、アルツザン100mgの使用を中止し、適切な処置を行なってください。
【禁忌】
・アルツザン100mgの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・喀血(2.5mL以上の潜血の喀出)の既往のある人: 肺出血(喀血)があらわれ、死亡に至るおそれがあります。
【慎重使用】
・消化管など腹腔内の炎症を合併している人: 消化管穿孔があらわれるおそれがあります。
・大きな手術の術創が治癒していない人: 創傷治癒遅延による合併症があらわれるおそれがあります。
・脳移転のある人: 脳出血があらわれるおそれがあります。
・先天性出血素因、凝固系異常のある人: 出血があらわれるおそれがあります。
・抗凝固剤を使用している人: 出血があらわれるおそれがあります。
・血栓塞栓症の既往のある人: 心筋梗塞、脳梗塞、深部性静脈血栓、肺塞栓症などがあらわれるおそれがあります。
・高血圧の人: 高血圧が悪化するおそれがあります。
・うっ血性心不全または冠動脈疾患などの重篤な心疾患のある人: うっ血性心不全が悪化またはあらわれるおそれがあります。
・高齢者
・妊婦または妊娠している可能性のある人
【重要な基本的注意】
・ショック、アナフィラキシー、infusion
reactionがあらわれることがあるので、観察を充分に行ない、過敏症状が認められた場合は、アルツザン100mgの使用を中止し、薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド剤、抗ヒスタミン剤など)などの適切な処置をしてください。
・創傷治癒遅延による合併症があらわれることがあります。臨床試験において大きな手術後28日間経過していない人がアルツザン100mgを使用した経験はありません。アルツザン100mgの使用終了後に手術を行なう場合は、アルツザン100mgの使用終了からその後の手術まで充分な期間をおいてください。アルツザン100mgの最終使用から手術までの適切な間隔は明らかになっていませんが、使用開始時期についてはベバシズマブの半減期を考慮してください。
・高血圧があらわれることがあるので、使用期間中は血圧を定期的に測定し、適切な処置を行なってください。なお、高血圧の発現率はベバシズマブの用量に相関して上昇する傾向が示唆されています。
・たんぱく尿があらわれることがあるので、使用期間中は尿たんぱくを定期的に検査することが望ましいとされています。なお、高血圧症の人がアルツザン100mgを使用すると、たんぱく尿の発現率が上昇することがあります。また、たんぱく尿の発現率はベバシズマブの用量に相関して上昇する傾向が示唆されています。
・脳転移のある人で脳出血を認めた例が報告され、また、初発膠芽腫の人を対象とした国際共同臨床試験において、ベバシズマブの使用により脳出血の発現率が高くなる傾向が認められています。脳腫瘍(脳転移を含む)を有する人がアルツザン100mgを使用する場合は、観察を充分に行ない、脳出血が疑われるような症状が認められた場合は、アルツザン100mgの使用中止を含めて適切な対応を行なってください。また、脳転移を疑う症状がなく、アルツザン100mgを含むがん化学療法を開始した人においても、慎重に観察し、神経学的異常が疑われた場合には脳転移および脳出血の可能性を考慮して、アルツザン100mgの使用中止を含めて適切な対応を行なってください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌および扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの場合
1) 術後補助化学療法において、アルツザン100mgの有効性および安全性は確認されていません。
2) 臨床成績の項の内容を熟知し、アルツザン100mgの有効性および安全性を充分に理解した上で、適応者の選択を行なってください。
・手術不能または再発乳がんの場合
1) 術後補助化学療法において、アルツザン100mgの有効性および安全性は確認されていません。
2) 延命効果は示されていません。
3)
臨床成績の項の内容を熟知し、アルツザン100mgの有効性および安全性を充分に理解した上で、HER2及びホルモン受容体の発現状況などを踏まえてアルツザン100mgの必要性を検討し、適応者の選択を行なってください。
・悪性神経膠腫の場合
臨床成績の項の内容を熟知し、アルツザン100mgの有効性および安全性を充分に理解した上で、治療歴、病理組織型などを踏まえて適応者の選択を行なってください。
・卵巣がんの場合
1) FIGO StageIII異常の卵巣がんの人が使用してください。
2) 臨床成績の項の内容を熟知し、アルツザン100mgの有効性および安全性を充分に理解した上で、適応者の選択を行なってください。
・進行または再発の子宮頚がんの場合
臨床成績の項の内容を熟知し、アルツザン100mgの有効性および安全性を充分に理解した上で適応者の選択を行なってください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの場合、アルツザン100mgは、フッ化ピリミジン系薬剤を含むほかの抗悪性腫瘍剤との併用により使用してください。扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの場合、アルツザン100mgは白金系抗悪性腫瘍剤を含むほかの抗悪性腫瘍剤との併用により、手術不能または再発がんの場合、アルツザン100mgはパクリタキセルとの併用により、初発悪性神経膠腫の場合、膠は放射線照射およびテモゾロミドとの併用により、卵巣がんの場合、アルツザン100mgはカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用により、進行または再発の子宮頚がんの場合、アルツザン100mgはパクリタキセルを含むほかの抗悪性腫瘍剤との併用により開始してください。アルツザン100mgと併用するほかの抗悪性腫瘍剤は、臨床成績の項の内容を熟知した上で、選択してください。
・併用するほかの抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読してください。
・再発悪性神経膠腫以外におけるアルツザン100mg単独使用での有効性および安全性は確立していません。
・治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの場合、アルツザン100mgの用法・用量は臨床成績の項の内容を熟知した上で、アルツザン100mgと併用するほかの抗悪性腫瘍剤および使用する人のがん化学療法歴に応じて選択してください。
・悪性神経膠腫の場合、悪性神経膠腫の用法・用量は臨床成績の項の内容を熟知した上で、使用する人の治療歴に応じて選択してください。
・卵巣がんの場合、ほかの抗悪性腫瘍剤との併用使用終了後もアルツザン100mg単独使用を継続してください。アルツザン100mgを継続使用しない場合の有効性は確認されていません。
・進行または再発の子宮頚がんの場合、日本人患者においてはアルツザン100mgはパクリタキセルおよびノギテカンとの併用使用の経験はありません。
・注射液の調整法および点滴時間
1) アルツザン100mgの使用時には必要量を注射筒で抜き取り、日局生理食塩液に添加して約100mLとします。初回使用時は90分かけて点滴静注します。
2)
初回使用の忍容性が良好であれば、2回目の使用は60分間で行なってかまいません。2回目の使用においても忍容性が良好であれば、それ以降の使用は30分間隔使用とすることができます。
【適用上の注意】
・調製時
1) アルツザン100mgの使用時には必要量を注射筒で抜き取り、日局生理食塩液に添加して約100mLとします。
≪必要抜き取り量計算式≫
抜き取り量(mL)=体重(kg)×1回使用量(mg/kg)/25(mg/mL)
1回使用量
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必要抜き取り量(mL)計算式
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5mg/kg
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抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.2(mL/kg)
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7.5mg/kg
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抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.3(mL/kg)
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10mg/kg
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抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.4(mL/kg)
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15mg/kg
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抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.6(mL/kg)
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2) 日局生理食塩液以外は使用しないでください。
3) 用時調整し、調製後は速やかに使用してください。また、残液は廃棄してください。
・使用時
1)
アルツザン100mgとブドウ糖溶液を混合した場合、ベバシズマブの力価の減弱が生じるおそれがあるため、ブドウ糖溶液との混合を避け、アルツザン100mgとブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時使用を行なわないでください。
2) アルツザン100mgは点滴静注用としてのみ用い、急速静注は行なわないでください。
【その他の注意】
・海外臨床試験においてベバシズマブと化学療法を併用した閉経前女性患者は、化学療法のみを実施した患者と比較して、卵巣機能不全(β-HCG妊娠検査陰性で3ヵ月以上継続する無月経かつFSH≧30MIIU/mL)の発現率が高いとの報告があり、妊孕性低下の可能性が示唆されました。なお、ベバシズマブ中止後にほとんどの患者で卵巣機能の回復が認められていますが、ベバシズマブの妊孕性への長期的な影響は不明です。
・ベバシズマブ使用後に顎骨壊死が発現したとの報告があり、多くはビスホスホネート系製剤を使用中あるいは使用経験がある患者でした。また、ベバシズマブを含む血管新生阻害薬とビスホスホネート系製剤を併用時に顎骨壊死の発現が増加する可能性が示唆されたとの報告があります。
・適応外疾患に対する硝子体内(用法・用量外)使用例において、網膜剥離、眼内炎、硝子体出血、網膜出血などの眼障害があらわれることが報告されています。ベバシズマブを硝子体内使用するにあたって、ベバシズマブの不適切な無菌操作下での小分けにより、重篤な眼感染症があらわれ、失明に至った例が海外で報告されています。また、海外において、心筋梗塞、脳卒中などがあらわれることが報告されています。
【高齢者】
・海外臨床試験において、65歳未満の人と比較し、65歳異常の人でベバシズマブ使用による脳血管発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞などの動脈血栓塞栓症の発現率の上昇が認められました。高齢者では、重大な副作用があらわれやすいため、状態を充分に観察しながら慎重に使用してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。妊娠する可能性がある人では、アルツザン100mg使用中、適切な避妊法を用いるようにしてください。また、アルツザン100mg使用終了後も最低6ヵ月は避妊法を用いるようにしてください。
・授乳婦が使用する場合には、授乳を中止してください。また、アルツザン100mg使用終了後も最低6ヵ月間は授乳しないことが望ましいとされています。
【小児など】
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していません。
・小児などで骨壊死(顎以外の部位)があらわれるとの報告があります。